北アルプス7泊8日 大縦走4日目 五色ヶ原山荘~スゴ乗越~暴風雨の薬師岳~薬師岳山荘

今日の山行はボロボロでお恥ずかしい限りなのですが、一応記録としてブログに残します。

同室のお姉さん、寝返りなのか出発の用意なのか。。。今何時?  3:20 おぉ、私も起きなければ! 「すみません、起しちゃいました?」 いえ、起してくれてありがとうございます。それにしても最終パッキングもお布団をたたむのにもほとんど音をたてず、姉さんさすがです!


ガイドブックには、五色ヶ原山荘~スゴ乗越小屋~薬師岳山荘と小屋泊まりしていく行程が記載されていますが、ノロマのくせに一気に五色ヶ原山荘~薬師岳山荘を目指します。予習で仕入れた情報によるとスゴ乗越小屋は和式のぼっとんらしい。しかもある口コミによると「(臭くて)目が痛くなった」とあるではないですか! 私、ムリ。泊まると少なくとも3回はトイレを使用すると思うし、立ち寄りだけだったら1回ですみます。なので頑張ってスゴ乗越小屋に泊まらずに歩くことを決意しました。(でもスゴ乗越小屋のご飯はとってもおいしそうです)

3:55 五色ヶ原山荘出発 小屋の朝食はなしで、軽くパンを食べて出発。ただでさえ長時間かかる行程、ノロマな私は早く出発しなければ日暮れまでに薬師岳山荘に着きません。空には満点の星、今日は天気がとても良さそうです。暗い中、ヘッドランプで歩くのは不安ですが、幸いなことにしばらくは木道が続きます。慎重にゆっくり歩くので、早くでても意味がなかったんじゃ。。と自問自答。

星が消えていくのはさみしいけれど、明るくなってくるとほっとします。

おはようございます。

4:50 鳶山(2616m) 富山市(たぶん)のみなさん、朝ですよー

追い抜かれたり追いついたりを繰り返し、そのたびに爽やかな笑顔をくれた山岳部員たち。二番目には私くらい小さい女子部員も大荷物を背負ってしっかりした足取りで歩いています。すごいなー

今日はとても暑くなりそうです。(いや、後からとても寒くなるのです)

能登半島が見えます。

しばらく歩きまた能登半島を眺めていると、すぐ近くで「ボホーボホー」という声が。見てみると雷鳥です。あんたたち、岩と同じ色してるからわからなかったわよ。自分たちを見ろと主張しています。一羽はカメラ目線。写真には写っていませんが、雷鳥のお子様方も繁みの中に2羽いました。

6:55-7:05 越中沢岳(2592m)

夜明け前に歩いた池塘周辺が見えます。ずいぶん歩いた気になっていたけれど、まだこれだけしか歩いていません。先は長いなぁ~

同室の姉さんが「越中沢岳、ずりずり滑りそうになるから気を付けてね」って言っていましたが、こういうことなのでしょう。特に下りは慎重に。

稜線上の赤い点、スゴ乗越小屋が見えてきました。遠い~ そして奥に薬師岳、カッコイイ! あそこまで歩くんだ! 後で大変な目にあうことも知らず、この時点ではわくわくします。

9:10-20 スゴの頭(2431m) 私を追い抜いて先に歩いていた山岳部のみなさんと獅子ヶ岳・五色ヶ原山荘で一緒だった韓国人男性に追いつきました。韓国人男性から高級高麗人参エキスをいただきました。おいしくはないけれど、なんだか疲れによく効きそうです。山岳部は私と同じ薬師岳山荘を目指していましたが、それを断念。女子部員が具合が悪そうです。様子を見ていると水以外口にできないようです。燧ケ岳での私によく似ています。疲れと暑さでバテているのでしょう。つらいよね、でも休む以外にどうしようもない。しかも私とは違って大きなザックを背負って歩いてきたのだもの。今日はスゴ乗越小屋に泊まるそうです。燧ケ岳の私と同じことは、頼りになる優しいメンズがいることです。頑張れー(人に頑張れというレベルではないのですけど)

韓国の男性と一緒に出発しましたが、彼は健脚なため先へと進みます。

おぉー、スゴ乗越小屋まであとちょっとです。旗まで見えてきました。名物のカレー、売り切れていませんように!

スゴ乗越直前に難所あり。越中沢岳のロープ箇所より急です。私は登りだからいいけれど、この下りは怖いなぁ。

11:10-45 スゴ乗越小屋 やっと着きました~ これで今日の行程の半分です。もうヘトヘト。名物のカレーでパワーを充填しないとね!

がーん! カレーがない! 本日売り切れではなく、しばらくカレーはお休みとのことです。

というわけで、おうどんを注文しました。麺はもちろんインスタントでしょうが、鰹節のいい香りがふんわりでなごみます。うどん¥800- コーラ¥400-

食べ始めたころ、先に着いていた韓国の男性は「薬師岳山荘で会いましょう」と先に行きました。後でねー

あんなに心配していたスゴ乗越のトイレですが、改装中でいまは快適な洋式簡易トイレになっていました。これだったらムリせずここに泊まってもよかったかも。しかし天気予報では今日は晴れのち曇り、明日は大荒れになるとこのこと。北薬師から薬師の稜線は両側が切れていて、荒天時には危険らしいので頑張って今日歩かねば。ただでさえヨロヨロしているのにわざわざ荒天時にそんなところ歩くなんて考えられません。


しばらく歩くと、なんだかガスってきました。あんなに天気がよかったのに。。

13:30 間山(2585m) 天気があやしくなってきました。

急に雨が降ってきました。慌ててレインウェアを着ます。雨で気持ちがブルーの中、やけくそで花の写真を撮る私。

天気が悪いからか、雷鳥がピョコピョコ現れます。

ここにも雷鳥出没。ガンバレガンバレと励ましてくれているのか、バーカバーカとけなされているのか。このあとも先導するように雷鳥はたくさん(親子も)出てきて雷鳥祭りですが、カメラを出す余裕はなく、もはや鶏肉にしか見えません。

岩場は視界が悪いので印を探すのに時間がかかります。山友さんと歩く時は私はいつも山友さんたちの間を歩き、自分でルートを探す必要がありませんでした。彼らに守られていたんだなー。ここではじめてさみしくなる。一昨日の今頃は楽しかったなぁ。

15:50 北薬師岳(2990m) 「北薬師岳」という標識の文字が消えてしまっているのが残念。その下に「この先の稜線、荒天時は厳しい」とかそんな文言がありましたが、ここで言われてもねぇ。

国の特別天然記念物「金作谷カール」というものがあるはずなのですが、何も見えません。

今回の7泊8日大縦走の核心部です。剱岳よりも怖かった! 風はうなり雨はバチバチ顔を叩きつけそんな荒天の中、切れた稜線を進みます。石にかじりついてでも、いやかじりついてばかりもいられず一歩一歩でも先に進まねばなりません。滑落することはまったく考えませんでしたが、とにかく寒いので低体温症ってこんな状況でなるんだろうなーと思っていました。寒い、寒すぎる。フリースあるけれど雨と切れた稜線上では着れません。しかも日が暮れてしまいます。「ヤバい」という言葉は嫌いでなるべく使いたくないのですが、あえて使おう、この状況「ヤバい」。

薬師はまだか、もう寒くて疲れたよパトラッシュ。。。 ガスで視界不明瞭の中進んでいたらいきなり祠が見えました。やったー、ついに薬師岳。

17:10 薬師岳(2926m) 一応登頂した証拠としてパチリ。祠に「ここまでなんとか無事(?)に来れました。ありがとうございました。あとちょっとお願いします」と手を合わせます。

ここまで来れば薬師岳山荘までコースタイムで40分、私の足でも1時間も歩けば着くはずです。もう危険個所もないので少し気がラクになりました。雨風は相変わらずひどいので、吹き飛ばされないように踏ん張りながら下っていると、んん? なんと! この悪天候の中、しかもこの時間に登ってくる物好きがいるじゃないですか!! その人は私の少し前でピタっととまり、レインウェアのフードを少しあげると、なんとあの韓国の男性が微笑んでいました。私「心配して来てくれたの?」 彼はうなずき「大丈夫ですか?」 ペカーっと後光が差しました。その優しさがうれしくて薬師岳山荘まで雨と涙で顔をぐちゃぐちゃにして歩きました。

17:50 薬師岳山荘

薬師岳山荘

小屋の人に怒られるだろうな、と思っていましたがひどく心配してくれていました。乾燥室で着替えて、受付で宿泊用紙に記入。ただでさえ汚い字が、手がかじかんでいてひどい字です。こんなに冷えていたのか。「体は大丈夫ですか? ご飯は食べられますか?」 ここでお腹が空いていることにはじめて気が付きました。キムさん(ここで韓国の男性の名前が判明)が「ビール飲む?」と聞いてくれましたが、寒くてビール飲めません。「あったかいお茶がいいです」カメラも冷えきっていて、何度レンズを拭いても曇ってしまいます。なのでファンタジーな夕食の写真。私の視界もこんな感じです。(心まで反映するのか?オリンパスTG-5!) 「やくし」という文字がやけにうれしい。

悪天候でスタンバイしているのか、富山県山岳救助隊の人がいらっしゃり、食堂でみんなが集まり貴重な救助の話を聞くことができました。(私は食べながら) 最後の質問コーナーで「私が小屋に着かなかったらどうなってましたか?」と質問。薬師岳山荘ではスゴ乗越小屋に連絡をとり、スゴ乗越小屋には宿泊していないこと、どうやらお昼前にうどんを食べて出たらしいということまでは情報を得ていたとのこと。18時までに私が小屋に着かなかったら、この方が捜索にでるところだったそうです。えー、私、あと10分で遭難者になるところだったの!? 反省しきりでございます。

一泊2食付:¥9,700-

夕食:17:00(間に合わなかったけれど)

朝食:5:00~7:00の間ならいつでも

トイレ:洋式ぼっとん ぼっとんですがまったく臭いません

水: 水は貴重で、天水が入っているバケツがありました

携帯:au 2Fの部屋では電波は入りませんでしたが、食堂では入ったり入らなかったり

充電:部屋にコンセントの穴があったので差してみましたが、なんの反応もありませんでした。元を切っているようです。

消灯:多分21:00 もう疲れに疲れてバタンキューだったのではっきりとは覚えていません。


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