これは失敗登山です。今まで道を間違えたり、山小屋につくのが遅かったりなどありましたが、今回のはひどい。恥ずかしいのでブログに書こうかどうか迷いましたが、これは日記ブログなのでありのままを書こうと思います。失敗というのはロングコースの肘折コースを選んだこと。長く歩くのは好きだし、岩木山+嶽温泉のように下りた先に温泉宿があるのは理想中の理想。難しい岩場もなさそうだし、下りだし、自分のレベルを差し置いてこのコースを選んでしまいました。
⏰ 歩行時間:約14時間40分
⏰ 5:25 月山頂上小屋(1848m)🚻 ~ 7:35 千本桜 ~ 11:10-15 清川橋(933m) ~ 12:25-40 念仏ヶ原避難小屋(1081m) ~ 13:10 三日月池(1116m) ~ 13:55 小岳(1226m) ~ 14:05-10 磐梯朝日国立公園看板(1161m) ~ 15:35-40 赤沢川渡渉地点(913m) ~ 16:55-17:05 猫又沢渡渉地点(708m) ~ 19:05 肘折登山口(538m) ~ 20:55 肘折温泉元河原湯旅館♨
おはようございます。どうやら雨はあがったようです。さぁ早く出発しなくちゃ。朝食はまだのはずですが、ご来光目的でみんな起きてます。私もちょっと見てみよう。
うわっ! これはすばらしい!! 久しぶりにすごいもの見ちゃった! これだから山というやつは! 遠征するといつも雨ばかりですが、雨の翌日は雲海が見られる率が多いですからね、いいこともある。
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調子にのって、山頂まで行ってみよう。昨日歩いてきた道をたどると、ありました。昨日はまったく気がつきませんでした。
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月山山頂(1984m) 昨日のどんよりした中に登頂するよりもはるかにいいね。
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私は同じ道を戻りましたが、頂上から神社方向へ抜けるとこの立入禁止に出てくるようです。
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絶好のロケーションにたつ月山頂上小屋。小屋に泊まらずとも登頂はできる月山、ですがぜひ小屋泊まりをおすすめします。景色はいいし(晴れていたら)、小屋自体もとってもよいので。
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ただいま 月山頂上小屋から山頂まで往復で25分ほど
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きっとおいしいに違いないここの朝食もいただきたいのですが、そんな時間はありません。早く出発しなければ。インスタントコーヒーをいれたカップにお湯をもらい、持ってきたパンで朝食。食べながら気がついてしまいました、この小屋にはワンちゃんがいるのです! なんとかレトリバー(ゆりあんではない)でしょうか、黒くて大きくて賢そうなワンちゃんです。
最後に支払。朝食抜きでしたが、入浴料と手ぬぐいもあわせて1万円を払ってお釣りがきました。この内容で安い!
5:25 出発(1848m) 遅くても5:00には出なくてはと思っていましたが、すでに5:25。日没までに下山できるかなぁ。
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とても居心地のよい山小屋でした。また泊まりにきたいと思いましたが、私の登山寿命を考えるともう時間がなさそうです。
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北アルプスでとんがった山々が見えるのもいいけれど、腕を広げているようなおおらかな山々の景色もなかなかです。
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一面のコバケイソウ
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遠くに蔵王が見えます。
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ヒナザクラ
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アオノツガザクラ
岩々を下りてきました。それにしても他に人がいません。あまり好きではないのですが、熊鈴をつけます。
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岩々の次はチングルマが咲くなだらかな道になります。道は雨で水たまりになっていました。
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チングルマ、時々イワカガミ
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ガクウラジロヨウラク
振り返って山小屋、だいぶ下りてきました。家を出る前に、アイゼンが必要かどうかを山小屋に確認し、小屋下に雪渓があり軽アイゼンあったら安心ということでした。が、私は軽アイゼンがないので、10本爪アイゼンを持ってきたのですがこれが重い。結果まったく必要ありませんでした。
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ヨツバシオガマ
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ハクサンシャクナゲ
小川を渡り
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草刈りされた道を進むと
チングルマの次は、ニッコウキスゲが咲く湿原です。
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7:35 千本桜 早い時期にはミネザクラが咲くらしい
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しばらく続いた湿原が終わると、ロープ箇所がいくつも現れます。ぐんぐん下ります。
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ゴゼンタチバナ
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ゼンマイ? コゴミ? いずれにしてもおいしそう
え、ティッシュ捨ててある? お尻ふいた? 下りていくとティッシュに見えていた白いものは水芭蕉、リュウキンカと仲良く咲いています。
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かわいいカエル。
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荒れているけれど道あってるよね?
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沢!? 沢くだるの? 予習では沢下りなんてなかったよね? でもロープがあるし、ピンクリボンもある。。。仕方がない、下りるか
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木の枝がザックにひっかかりマゴマゴしていると、上から「道こっちですよー」という声。私「でもロープもピンクリボンもありますよ」 お兄さん「自分、下から登ってきたのでこっちの道があっていると思う」 そうなのか。登り返すと、一眼カメラを首にかけたお兄さん「沢やる人用の道なのかも。ほとんど人いないから気を付けて」 お兄さんにお礼を言って教えてもらった方へ。
ほんとだ、ピンクリボンがある。このピンクリボンもっと手前につけてくれないと、沢のロープとリボンが先に目に入ってしまって沢をおりてしまいます。
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11:10-15 清川橋(933m)
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必死で下りてきましたが、念仏ヶ原湿原まで登ります。ふぅ
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木道です、もうすぐ湿原です。
抜けました、湿原です。キンコウカがお出迎え
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ワタスゲ 癒やされます。
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ニッコウキスゲ 湿原はいいねぇ、お花はあるし木道だし平らだし。数時間でチングルマ、ニッコウキスゲ、水芭蕉、ワタスゲが見られるとは、なんて山だ。すごいぞ月山!
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12:25-40 念仏ヶ原避難小屋(1081m)
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小屋内部はとってもキレイです。ここで昼食。
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「1本2000円くらいするから、ここぞという時に飲んでね。まずいけど」ともらった疲労回復ドリンク。今こそ、ここぞという時でしょう。まずい!元気になる前に具合が悪くなりそう。
グーグルの口コミによれば、避難小屋の外にトイレがあるはずなのですが見つからず。。。下界までもつかなぁ(登山口の駐車場にはトイレはない)
13:10 三日月池(1116m)
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まだ半分も歩いてない。。。 写真を撮るのは控えて歩くことに集中しよう
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ここを横切るのはちょっと怖い
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13:55 小岳(1226m)
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14:05-10 磐梯朝日国立公園看板(1161m) 登山道入口? 入口というよりど真ん中ですけど。あー、磐梯朝日国立公園の山道がここから始まるってことね。
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ギンリュウソウ ひ弱に見えますが漢字にするとカッコイイ銀竜草
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今日はとてもよくカエルが現れます。まるで応援してくれているよう。カエルA「無謀なバカ人間、A地点通過、応援よろしく!」 カエルB「がってん承知!」 カエルC「しゃーないなー」 他のハイカーはおもしろくない樹林帯歩きは何を考えて歩いているのだろう。私はけっこうこんな妄想をしています。
15:35-40 赤沢川渡渉地点(913m) 地図では赤沢川ですが、標識は赤砂川になっています。
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16:55-17:05 猫又沢渡渉地点(708m) 渡ったらまた登りです、もう飽きてきました。カメラも疲れてきたのかブレています。
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樹林帯がずっと続きますが、たまに切れ間から景色が。いくら日が長い夏でもいつかは日が暮れます。気持ちは焦っていますが、足が追いつかない。追いつかないどころか疲労からかつまづくことが多くなりました。途中でギブアップできないのが、他のスポーツと違うところ。しっかり!私!
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ここでようやく携帯電話の電波が入りました。宿に心配させてはいけないので宿に電話「まだ山の中で、あと30分後、19:00くらいに登山口に着きます。そこから歩いて宿まで行きます」 遅くなることは伝えたので少し気がラクになりました。タクシーに迎えにきてもらうことも考えましたが、肘折温泉の町にはタクシー会社はないようです。
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19:05 肘折登山口(538m) トイレもなければ携帯電話の電波もありません。
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肘折温泉まで4km、1km15分と考えれば1時間後には宿に着きます。さぁ、ラストスパート! が、スパートどころかまさかの失速です。足の指あたりが痛い。山道を下っている時も何かおかしいと思っていましたが気づかないふりをして歩いてきました。下山し安心した今、しっかり認識しました、私の足に何かが起こっている。
砂利道ってこんなに歩きにくかったんだ。途中で携帯電話の電波が入ったので再び宿へ電話、20:30過ぎになってしまうことを伝えました。
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20:30 宿から電話がかかってきました。「いつ着くんですかっ!」 怒ってる、決して心配するタイプではありません。
行灯のようなヘッドランプの灯りで歩きます。途中、こちらを見ている黄色に光る目、タヌキかな。夜道より電話の向こうの人(女将さん?)のほうが怖い。
町の外れに来ました。窓をピシャリと閉める音。私の熊鈴の音ですか?すみません。私もあまり熊鈴の音は好きではないので気持ちはわかります、特に山以外ではね。外しましが余裕でクマが出そうです。
やっと町の中心?が見えてきました。
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ここからはグーグルマップ。宿まであと6分! 6分なんてたいしたことありませんが、今の私にははるか遠く感じます。あと5分、あと4分。1分おきにグーグルマップで宿までの時間をチェック、この1分1分の距離が長い。。。
20:55 ついに、とうとう、ようやく
肘折温泉 元河原湯旅館♨
宿入りがこんなに遅くなっては、夕食がなくても宿泊キャンセルされても文句は言えません。が、部屋に夕食を用意してくれていました。これだけでもありがたい、平身低頭です。ぎゃんぎゃん何か言われていますが、もう疲れ切って頭に入ってきません。「聞く力」の岸田総理も疲れていて声が聞こえないのかな?
このお宿は和風ですが、基本ほとんどの部屋はベッドのようです。テーブルの上には夕食がセットされています。よく言えば部屋食。
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先にお風呂に入って汗を流したかったのですが、陶板に火を入れて去っていったため、まず夕食を食べなければなりません。
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箸置きがこけし、さすが山形
左上の黄色い物体はチーズの味噌漬け、私の好物ですが疲れ切った体にはちょっと。。。明日の朝に食べよう。陶板焼き用の牛肉、とてもかたかった。こんな夜に、しかも胃まで疲れている状況で消化できるのだろうか。が、お肉を残すのは罪悪感があるので無理やり完食。予約時のプラン名が「美味しい山旅プラン、特選山形牛&十割そば」なので、山形牛というものはかたいらしい。十割そばはありませんが、あっても疲れて食べられなかったのでなくてよかったです。
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山ではたいしたものを食べていないので空腹のはずですが、食欲はなくご飯はまったく手を出せませんでした。申し訳ない。おつゆは冷めてもおいしかったです。
お刺身とだだちゃ豆の。。。冷製スープ? いや本来は温かいいものかもしれません。スープまたはポタージュというにはかなりドロドロしていますが、豆の甘味がやさしくとてもおいしかったです。
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オプションでつけた馬刺¥1,100- いまムリに食べてもおいしくかんじられないので、冷蔵庫にいれて明日食べます。デザートは甘味のないスイカとメロンに、普通のコーヒーゼリー。
一番おいしかったのは、冷蔵庫に冷やしておいてくれた葉山の「栃の井」というお水でした。山で水はとっていたつもりでしたが、体は相当乾いていたらしい、ガブ飲みです。
そして山小屋なみに壁が薄いのか、となりから声がはっきり聞こえます。隣に部屋なんてあったっけ? 私の部屋はフロントの隣、こんなところに客室を用意するのは珍しい。館内マップを見ると、フロント奥のスタッフルームのおしゃべりのようです。
さて私の足には何が起こっているのか。親指の裏、親指の付け根あたりに靴擦れが左右あわせて4つ。右足小指の爪ははがれかけ、根元だけなんとかついている状態。右足薬指の肉と爪の間からは血が出た形跡あり(もう血はとまっている)。うぅ、頑張ったねぇ私の足、酷使してごめんよ。長袖を着ていましたが虫刺されは肩、首、腕に20カ所以上。かゆい~
絆創膏を貼ってお風呂へ。湯船に浸かると沈んでしまいそうなので、シャワーのみ。早くお布団の上に横になりたい。部屋に戻ると焼肉の匂いが充満しています。窓を開けたけれど明日宿泊のお客さん大丈夫かな。スタッフルームから聞こえていたおしゃべりはいびきに変わりました。仮眠する部屋でもあるようです。このいびきが時々とまり、10秒ほどすると大きな声で「んがっ!」 これがびっくりするぐらい声が大きいのです。睡眠時無呼吸症候群じゃないのかしら。山小屋でも使わなかった耳栓、ここで使用するとは。
沢の入口で一眼のお兄さんが声をかけてくれなかったらと思うとゾッとします。今日山道で会った唯一の人、あと数分ずれていたら私は沢を下りていたかもしれません(GPSでルート設定していたのでそのうちルート外れの警告音がなると思いますが)。あの人、山の神だ、山の神降臨。散々な目にあったハイキングでしたが(自業自得)、山で目にした景色はそれ以上のものでした。懲りないバカです。3日目へつづく
初めまして。月山肘折温泉縦走お疲れ様でした。私も72歳の叔母を連れて、8月末にこのルートを歩きました。姥沢に前泊して念仏ヶ原避難小屋に一泊、翌日肘折温泉の宿に泊まるプラン。
とにかくまー長くてしんどかったですねー!山頂過ぎたら同じく誰にも会わないですし。私はともかく、叔母がヨレヨレでしたが、肘折温泉には14:30頃には着いたので、温泉も食事ものんびり楽しめて良かったです。
しかし、7月にはあんなにお花が満開なのですね。虫も凄そうですが…次回はお花の時期にまたチャレンジしたくなりました。あ、トイレは小屋手前の水場の奥です。一応看板がありましたよ。トイレというか、川に板を渡してあるだけですけど(;^_^A
温泉を目指す山旅って、良いですよね~♪
みなみな様 コメントありがとうございます。
姥沢から一日で念仏ヶ原避難小屋?! なんと健脚な! しかも72歳の叔母様もヨレヨレとはいえ歩いたなんて頭が下がります。ゆっくり温泉と食事を楽しめたのはなんともうらやましい限りです。
トイレはまったく気が付きませんでした。トイレという建物があるものと思いこんでいたのがよくなかったのかもしれません。
とってもよいコースですが、またチャレンジは私にはもうムリ!しんどくてしんどくて。。。 みなみな様はぜひお花の時期にまた歩いてください。
この歩く人があまりいないコース、感想をシェアできてうれしかったです。ありがとうございました。
このコース、とても興味があったので、疑似体験させて頂き、感謝です
月山は複数コースで登ってますが、やはり、肘折コースはハンパない長さですね
どなたかのコメントにあったように、途中避難小屋泊しないと、私には到底ムリ…ヽ((◎д◎))ゝ
ありがとうございました
藤原様 コメントありがとうございます。失敗登山の記事でも少しはお役にたてたようでうれしいです。複数のコースを登ったなんて、やっぱり月山は魅力的な山なのですね! 私もまた行きたいです、もっと短いコースで。健脚な方なら1日でも歩けるのでしょうけれど、時間を気にして景色やお花をチラ見でもねぇ。。。 私のように失敗しないように、ぜひ肘折コースを楽しんでください。ありがとうございました。
はじめまして。肘折温泉までの下山を計画しており、沢のところ等大変参考になりました。やはり避難小屋一泊が無難そうですね…。クマとの遭遇もなかったようですがフンや気配などはありましたか?
何度か肘折温泉の安めの宿に宿泊しており値段•サービスとも良心的で気に入っているのですが、お泊まりになった件の宿はあまりスタッフの評判がよろしくないとは耳にしてましたので、ぐれぶさんへの対応も、むべなるかな、もいった印象です。
ぽこ様 コメントありがとうございます。参考になったとのこと、とてもうれしいです。あそこに避難小屋があるのは「ここに泊まりなさいよ」ということなのだと思います。夜明け前に頂上小屋を出れば避難小屋に泊まらずともなんとかなりそうですが、このルートの一番よい景色(頂上小屋の下)が真っ暗というのも悲しいですし。。。 クマについてはフンを見かけることなく、気配・獣臭もありませんでした。
私が宿泊した宿は、そうなんですね。評判をチェックすればよかったです。まぁ、悪いのは私なので。。。
とてもよいコースなので、どうかお気をつけて行ってらしてください。晴れますように!