お先にどうぞ~ ゆっくり山まいまい

町中ではヘルプマーク、車だと初心者マークや紅葉マーク、赤ちゃんが乗っていますマークなどを見かけますが、山でもあるんです。それは「ゆっくり山マイマイ」というなんともラブリーなカタツムリマークです。

私のようにただ歩くのが遅い、または写真を撮りたい、お花を楽しみたい、等の理由でゆっくり歩きたい、急ぐ人の邪魔になってしまうから抜かしてほしい人がつけるバッジです。


夏の終わりに膝を痛めて、会社に行くのもしんどかった時に ゆっくり山まいまい に申し込みをして送ってもらいました。幸い2週間ほどで痛みはなくなり、その後は違和感はありましたが、それからは山にあわせてしっかりサポートタイツを履き、ストックを両手に持って歩くようにしてます。バッジはしんどく苦手な岩ゴロゴロの山で私が渋滞をつくってしまいそうな山(たとえば甲斐駒ケ岳の黒戸尾根とか)でのみつけています。

ただポンコツで歩くのがちょっと遅いから、という理由だけでバッジをつけるのはちょっと気が引けています(つけてもいいんですよ)。なぜ気が引けたかというと、このバッジ、ラブリーな見た目とは違い、シリアスな歴史があるのです。カワイイからと言ってつけるバッジではありません。そんな時はコケ丸くんでもつけておいたらいいのです。

このゆっくり山まいまいバッジは制作者のangelinaさんの闘病体験からつくられました。乳がんで大手術をし、その後山へ行った時、人とすれ違うのが怖いと思ったそう。「手術箇所をぶつけたらどうしよう。人を避けようとして転んでしまったらどうしよう」 そしてゆっくり山まいまいバッジが生まれたのです。トレランの人が後ろからいきなり抜かしていく時などは、あっぶない!と思うことはありますが、ぶつけたら?転んだら?と私は思ったことがあるだろうか? そんな不安を抱えながら登っている人がいるなんて。だったら山なんて歩かなきゃいいじゃん、と思った人、いやいやそういうもんじゃないんですよ。誰だってどうしても外せないことってあるでしょう。山は速く歩く人だけのものではないし、頂上は人それぞれです。

こちらも後ろが渋滞にならないよう、気が付いたらなるべく道を譲るようにしていますが、わざとすぐ後ろにピタッとついてきたり(煽り運転?逆に道を譲ってあげたくないのだけど、しかたなく譲る)、トレランの人に多いのですが忍者のように後ろから横をすり抜けていこうとしてこっちがビックリしたりすることがあります。気をつかって何も言わずにすり抜けようとしてくれているのかもしれませんが、ちょっと「すみません」「通ります」と声をかけてくれればいいのになー ほとんどの人はゆっくり登山者に優しいんですけどね。私もゆっくり邪魔にならないよう明日も歩きます。